書評010: 戦争広告代理店 / 高木徹

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PR企業を追ったドキュメント。そもそもPR企業なんて言葉を知らなかったのでこの本読んでそんなもんがあったのか!とビックリ。ますますあらゆるメディア発表が疑わしくなってまいりました(笑)。「メディアに踊らされる、、、」なんて言葉をよく聞くけど、そのメディアを踊らせて、世論をクライアントに利益があるように動かす仕事、それがPR企業。
ボスニア紛争を題材に書かれたこの本だけど、登場人物のキャラの書かれ方が判りやすくて、とっつきづらい題材ながら読みやすくて面白い。世界中あらゆるところで内乱、紛争が起きてるけど、ほとんどが一概にどっちが悪いとは言えない状況のもので、この戦争もその一例。ボスニアのシライジッチ外務大臣がPR企業ルーダーフィン社のジム・ハーフに仕事を依頼して、その一部始終をドキュメント。ハーフのスマートな職務遂行と、シライジッチの残念キャラの対比が面白い。戦争で金を稼ぐことについて賛否あるけど、そこを中心に書いてないのがこの本のいいところ。
前半ダレるけど、中盤のセルビアの反撃からあっけない幕切れまでが加速的に面白い。シライジッチさん、人間的にはいかがなもんかと…

★★★★★

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